彼女に薦められて読んだ本です。今まで吉本ばななさんを、敬遠してきた訳ではないのですが、あまり読んだことはありませんでした。正直言って後悔しています、何故もっと早く読まなかったんだと。というのは、薦めてくれた彼女の気持ちや考え方の一部がこの本に表れていたからです。
そんなこともありますが、全体的にはすごく暗い短編が3篇収録された短編小説になります。暗いときに読むとますます暗くなるっていう作家やミュージシャンがいますが、彼女もその部類に入るのではないでしょうか。ただ、暗くなっても陰湿な暗さではなく希望が視野の上のほうに見える暗さだとぼくは感じました。3篇とも不器用な女性たちが主人公として登場します。生き方が不器用だけに人間の本性や女性の考え方が如実に表現されているような気がして、とても勉強になりました。正直、女性が何を考えているのか分からないときが多いです(笑)近い存在になればなるほどそうで、そのもどかしさったらありゃしません。この小説を読んで何故か少しだけ女性の気持ちが分かった気がします。実に不思議な空気を持った小説ですが、ぼくの崇拝するリリー・フランキーさんとは逆で、何気ない日常に真理を見出すのではなく、少しばかしの非日常に真理の断片を表現しているのではないかと思います。薦められた本だけに凄く深読みをしてしまう小説でした。
活字中毒の戯言です、はりっきって本屋に走らないように。